こんにちは、Funds Startupsです。Funds Startupsは、「社会的インパクトを創出するスタートアップが、最も理想的な成長を遂げられる仕組みを開発する」をミッションに据え、現在Funds Venture Debt FundのGPとして、ファンド運営ならびに金融機関へのベンチャーデットに関する支援を中心に行っています。また、デット市場のさらなる普及と透明性の向上に向けて、 Venture Debt に関するさまざまな情報を継続的に発信していく予定です。前回に引き続き、エクイティとデットを戦略的に組み合わせる「最適資本経営」についてお届けしたいと思います。前回の記事では、スタートアップの成長においては、「いくら調達するか」だけでなく、「どのように調達するか」かが重要であり、デットを適切に組み合わせることで企業価値を最大化することが可能であることをお伝えしました。成長フェーズに応じてエクイティとデットを戦略的に使い分ける「最適資本経営」が、持続的成長の鍵となります。過去記事【Venture Debt Library#3】調達準備編:最適資本経営とは。スタートアップは、なぜデットを活用するのか?(前編) ┃ FSコラム ┃ Funds Venture Debt Fund ┃ Funds Startups株式会社今回は、最適資本経営の考え方をより具体的にイメージいただけるよう、モデルケースとなる資本政策の設計例や、実際にエクイティとデットをうまく組み合わせて資金調達を行っている企業の事例をご紹介します。実務として「どう組み立て、どう判断するのか」に踏み込みながら、最適資本経営を実装するためのヒントをお届けします。【モデルケース】IPO時の着地はどう変わるか?実際に、エクイティのみで調達した場合とデットを戦略的に活用した場合で、IPO時の資本政策がどう変わるか、シンプルなモデルケースで比較してみましょう。前提条件創業時: 創業者100%保有調達総額: 50億円(Seed → Series A → Series B → Series C)IPO時企業価値: 200億円各ラウンドの調達額:Seed: 5億円Series A: 10億円Series B: 15億円Series C: 20億円パターン①: すべてエクイティで調達IPO時の創業者保有価値:200億円 × 33.3% = 約66.6億円パターン②: エクイティに加え、デットを戦略的に活用デットを以下のタイミングで活用:Seed: エクイティ5億円Series A:デット3億円 + エクイティ7億円Series B:デット5億円 + エクイティ10億円Series C:デット7億円 + エクイティ13億円IPO時の創業者保有価値:200億円 × 41.0% = 約82.0億円比較結果仮にデットの平均金利: 10%、平均保有期間: 2.5年と仮定すると、利息コストは約3.8億円であり、利息コストを差し引いても、戦略的なデット活用が創業者・既存株主にとって大きな経済的メリットを生むことがわかります。実践事例:デットを使いこなす成長企業実際にデットを戦略的に活用して成長を加速させている企業の事例を紹介します。事例①: シェルパ・アンド・カンパニー株式会社(IT SaaS)「ミルフィーユ型調達」を提唱する同社は、エンタープライズSaaS特有の年度末に売上が集中する特性を活かし、Series B前にデットで十分なランウェイを確保。MRRを数倍に伸ばしたタイミングでエクイティ調達に臨むことで、有利な条件を引き出しました。16億 シリーズB調達の裏側:シェルパがこれまで実施してきたミルフィーユ型資金調達と戦略的デット活用のすすめ|杉本 淳(シェルパCEO | ESG)事例②: アイリス株式会社(Deeptech)研究開発に長い年月を要し多額の資金調達が必要となるディープテック領域において、ファーストプロダクトができたタイミングからベンチャーデットを積極活用。過度な希薄化を避けつつ、デットとエクイティをブレンドした資本政策により成長を加速させています。また、大型補助金獲得時の繋ぎ見合いの資金としてもベンチャーデットを有効活用しています。ディープテック・スタートアップが語る、「ベンチャーデット活用」のリアル|Funds Startups共通する成功要因これらの企業に共通するのは、事業特性に応じた最適な資本構成の設計です。キャッシュフロー特性や成長曲線を踏まえた資金調達設計をしており、エクイティとデットを組み合わせ、各フェーズで最適な調達手段を選択しているのが特徴です。まとめ今回のモデルケースでは、デットを戦略的に活用することで、IPO時の創業者保有価値に約15億円(約1.2倍以上)の差が生まれる試算となりました。また、シェルパ・アンド・カンパニー株式会社やアイリス株式会社の実践事例からもわかるように、事業特性に合わせてデットとエクイティを組み合わせることで、単に資金を確保するだけでなく、過度な希薄化を防ぎ、次のラウンドでより有利な条件を引き出すこともできるのです。スタートアップにとって、Debtはもはや単なる資金調達やブリッジファイナンスの手段ではなく、企業価値を最大化し、創業者や従業員、そして投資家の利益を守りながら成長するための戦略的ファイナンスの手段とも言えます。しかし、自社だけで最適なバランスを見極め、複雑な資本政策を設計し続けることは簡単ではありません。最後に、「最適資本経営」を実装するパートナーとしてのFunds Startupsの特徴を3点だけお伝えします。1. スタートアップの成長フェーズに特化した専門性スタートアップ固有の資金ニーズと資本政策の課題を理解し、単なる資金の出し手ではなく、CFOの戦略パートナーとして、各ステージに最適な資本構成の設計をサポートします。2.柔軟な資金調達ソリューション各社に最適化した”テーラーメイド型”のベンチャーデットを重視しています。画一的な融資ではなく、事業特性や資本政策に応じた設計をご提案しています。3.デットとエクイティを横断した支援金融機関・投資家とのネットワークを活かし、今回の調達だけでなく次の成長まで見据えた資本戦略を支援します。Funds Startupsは、皆様の成長パートナーとして「最適資本経営」の実装を支援します。資本政策や資金調達についてのご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。